カロリ=栄養じゃない!ファイトケミカルなど不足する栄養をとろう
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病気にならない食べ方
ここで念のために1つ押さえておきたいことがあります。それはカロリーと栄養はイコールではない、ということです。つまり飢餓の時代であれば、カロリー=栄養といっても、あながち間違いでなかったと思います。
なぜなら、いまみたいに加工食品がたくさんあったわけではなく、自然のものを丸ごと食べることが多かったため、ほとんどの食物には、カロリーと栄養がそれなりにバランスよく含まれていたからです。
たとえばスナック菓子やインスタント麺のように、カロリーはあっても栄養素がないというきわめて不自然な食品はその当時にはなかったので、カロリー=栄養といってもそれほどの間違いでもなかったのです。その名残もあってか、いまだにカロリーと栄養を混同している人が少なくありません。
ではカロリーと栄養はどこが違うか?
カロリーはエネルギー源のことで、車にたとえるとガソリンです。栄養は車の材料や機械部品といっていいかもしれません。
したがって精巧な車を作るとすれば、材料や部品をしっかり確保するのはもちろんのこと、材質もそれ相応なものを使う必要があります。粗悪品を使ってはいけませんし、もちろん部品が不足してしまうことなどは論外です。
しかし、カロリーと栄養を混同している人は、ガソリンを確保するのには精を出すのですが、材質や部品を確保することには無頓着であることに気づいていません。
たとえば毎日、インスタント麺、スナック菓子、ファストフードなどを好んで食べている人などは、その典型だといえます。
残念ながら、日本人の多くがカロリー過多で、栄養不足の状態であると思います。つまり、そのような人はカロリーオーバーでありながら、栄養失調(不足)に陥っていると思います。
カロリーを減らすついでに、意識しておいたほうがよいことがあります。それは同じ炭水化物(糖質)をとるなら、いっきに血糖値を上げないように、できるだけ未精製なもの、つまりGI値(血糖値の上昇率)の低いものを食べるということです。
精製したものは、体に負担をかけます。自然からかけ離れた食事は、常食にはしないほうがいいのかもしれません。
いっきに血糖値が上がらないついでに気をつけたいことは、よくかんでゆっくりと食べる、そして野菜から先に食べる(ベジタブルファースト)ことです。ちなみにゆっくり食べると活性酸素の発生量も少なくなるので、よりおすすめです。
健康長寿に必要な栄養をとろう
まず栄養素ですが、カロリー源とは異なることはすでにお話ししました。特に昨今は、カロリーはとりすぎているけれども、栄養素は不足しているといわれています。栄養素そのものが直接、病気を治すわけではありませんが、長い目でみれば、健康度(自己治癒力)を高めたり、その結果として病気が治ったり、病気の予防になったりもします。もちろん健康長寿にもつながります。
そもそも栄養素は、私たちの体の健全性(健康度)を高く保つために不可欠な物質であり、その栄養素が不足すると、次第に健康度が低下していき、病気へと進行していきます。
ここで栄養素の1つであるタンパク質、すなわちアミノ酸については、割愛します。なぜなら、タンパク質に関して、私たち日本人はあまり不足していないからです。
では、私たちに不足気味な栄養素とはどういうものでしょうか。
それは、ビタミン、ミネラル、ファイトケミカル、必須脂肪酸、それと腸内細菌たちのエサとなるプロバイオティクス(またはプレバイオティクス)なのです。
ファイトケミカル(phytochemical)のファイトは植物(ギリシャ語)、ケミカルは化学物質、つまり植物由来の化学物質をさします。
本来は植物自身が、活性酸素をはじめ外敵や外界から身を守るために産生された物質で、おもに植物の色素や香り成分、アクなどに含まれています。
食物繊維に続く「第7の栄養素」として注目されているファイトケミカルは、植物全般に含まれるため種類が多く、栄養効果も多彩なのが特徴。
そして昨今、なんといっても活性酸素から体をガードする抗酸化作用(活性酸素吸収能力)に注目が集まっているのです。
元気で長生きをするのにもこのファイトケミカルは不可欠で、私たちが植物をとるのは、ファイトケミカルを確保するためだという学者もいるくらいなのです。
ちなみにファイトケミカルは、一部の例外を除き、ほとんどが植物に含まれています。
またファイトケミカルは、熱にも強いという特長もあります。
なお、ファイトケミカルの代表的なものと、それらを多く含む食物をあげておきます。
・ポリフェノール…アントシアニン(赤ワイン/ブドウ/ブルーベリー/クランベリー)
・含硫化合物…スルフォラファン(ブロッコリー/キャベツ)
・カロテノイド…β―カ口テン(ブロッコリー/ほうれん草)、リコピン(トマト/スイカ)、カプサンチン(赤ピーマン/とうがらし)、アスタキサンチン(鮭/イクラ)
・糖関連物質…β―グルカン(きのこ)、フコイダン(海藻)、ペクチン(リンゴ)
・アミノ酸関連物質…タウリン(いか/たこ/魚介類)
・香気成分…ジンゲオール(ショウガ)
現在の私たちに栄養素が不足している原因として、「野菜などに含まれる栄養素が減ってきた」「加工食品が増え、含まれる栄養素が少なくなった」「野菜や果物の摂取量が減った」「生活環境がストレスフルになった」などがあげられます。
さらにもう1つ、私たちのめざす生き方が変わったことも原因としてあげられると思います。めざす生き方が変わったというのは、こういうことです。
私たち日本人に先駆け、欧米ではオブティマルヘルス(最適な健康状態)を求める声が増えてきました。ただ単に生きていくだけでなく、より健康度(自己治癒力)を高め、(病気もせず寝たきりや痴呆にもならず)元気に長生きをする生き方を求める人が増えたのです。
すなわち単に寿命ではなく、健康寿命を長くすることを意識する人が増えたということです。
そして、このオブティマルヘルスを実現するには、国(厚生労働省)が定める推奨量を維持する栄養素の量では不足します。
推奨量よりもむしろ適正量が大事になってくるのです。ちなみにビタミンCの推奨量は100mg/日ですが、適正量は1000mg以上/日とされています。つまり数倍から10倍の開きがあるわけです。
ちなみに推奨量というのは、辛うじてヒトが生きていくのに最低限必要とされる量だといえます。
一方、適正量というのは、単に生きていくだけでなく、最適な健康状態を保ちながら生きていくのに必要な量です。ですから、両者に大きな開きがあって当然です。
ただ、元気で長生きをしたいと望むならば、推奨量ではなくて、適正量を目安にしていく必要があります。
結論から先にいうと、いまの食生活では、適正量を満たす量の栄養素をとるのは難しいと思います。多くの医者や栄養士(管理栄養士)が、栄養素はふだんの食事からじゅうぶんとることができるといいますが、そこは現実をみる必要があると思います。
そのため私たちは、がんサバイバーたちの経験も踏まえながら、患者さんたちには野菜ジュースやサプリメントを積極的にとるようすすめています。
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