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花粉症・アレルギー性鼻炎の薬で注意したい4つの薬剤

花粉症・アレルギー性鼻炎の薬で注意したい4つの薬剤

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花粉症・アレルギー性鼻炎の薬

花粉症・アレルギー性鼻炎薬より防護
アレルギー性鼻炎、花粉症の人たちが苦しむ、くしゃみと鼻水の仕組みはなんでしょう。

鼻は空気が体内に入る最初の関門なので、その鼻に異物が引っかかると、それを追い出そうとする反応が体内で起きます。大きなものだと、くしゃみでその異物を追い出そうとします。

それでも異物が追い出せないと、鼻水で異物を洗い流そうとする。くしゃみと鼻水はこのようにして出るのです。

花粉が入ってきても小さくて刺激が少ないので、多くの人には異物と感じられません。ところが花粉症の人の体は、花粉の成分を異物と認識し、それを追い出すように働きます。その仕組みは、ダニなどを異物と認識する喘息の場合とほぼ同じです。

花粉を追い出す働き
花粉を異物だと認識した人のリンパ球は、その花粉に対してだけ反応する「I9E」という種類の抗体をつくります。その抗体と花粉が結合したものが肥満細胞という細胞に作用し、その肥満細胞を刺激します。

すると肥満細胞から「ヒスタミン」「ロイコトリエン」といった化学物質が出てきて花粉がくっついた粘膜を刺激し、炎症反応を起こして、くしゃみや鼻水で花粉を追い出すのです。

少量の花粉が一時的に飛んできただけなら、くしゃみや鼻水で追い出せば済む。しかし多くの花粉が常に漂っていると、追い出しても追い出しても花粉は目の中、鼻の中に入ってきます。

そうすると、しょっちゅうくしゃみや鼻水が出る。それではたまらないから、治療薬としてくしゃみ、鼻水のもとになる「ヒスタミン」の働きを抑える抗ヒスタミン剤(1)、次いで炎症を起こす「ロイコトリエン」などの働きを抑えるステロイド剤(2)、その他抗アレルギー剤(3)が用いられています。

また、強いくしゃみや鼻水、鼻をかむと、鼻の粘膜が傷つく。傷ついた粘膜を修復するために炎症反応が起こって、粘膜の血管が広がり、充血して腫れる。その血管を収縮させて一時的に粘膜の腫れを引かすために血管収縮剤(4)が使われています。

アレルギーの人はちょっとした刺激で肥満細胞が刺激されやすくなっていますが、クロモグリク酸は肥満細胞を刺激されにくくします。


注意すべき薬剤は?
(1)抗ヒスタミン剤
抗ヒスタミン剤なのに抗アレルギー作用を売りにしているものがあります。中にはオキサトミドのように、体の動きがコントロールできなくなる体外路症状や月経不順などの害作用の大きいものがあります。

眠気が少ない新しい抗ヒスタミン剤は、効きが悪いと思って多くのんだり、他の薬剤との相互作用などで血液中の濃度が増した人や肝臓の悪い人では、眠気が少ないために過剰であることに気づかずにいて、突然重い不整脈で死亡する危険があります。

このために「トリルダン」が販売中止になり、比較的安全な「アレグラ」などが発売されましたが、それでも重い不整脈が報告されています。

また、けいれんを起こし、重い障害が残った子の親から相談を受け、意見書を作成したことがあります。原因は明け方に23mdLというすごい低血糖を起こしたための脳障害でした。

そしてその低血糖は、ムコダインのインスリンに似た作用と、空腹時に下がった血糖値を上げようとする生理作用を抗ヒスタミン剤が抑えたためと考えられました。

(2)ステロイド剤
アレルギーの原因となる抗原性物質・アレルゲンを、すぐに取り除くことができる動物や食品などによって起きた重症の反応の際、一時的にだけステロイド剤を用いるのならやむをえないし、それほど害もありません。

しかし花粉は何力月間か続きますから、その間ずっと使用すると危険のほうが大きくなる可能性があります。ステロイド剤の効果は強力ですが、感染症や、製剤によっては局所使用でも副腎機能の抑制などが心配です。

よほど重症でないかぎり、花粉症に内服のステロイド剤を処方する医師はあまりいないはずですが、ステロイド剤(長時間作用型で依存になりやすい。一般名・ベタメタゾン)と、抗ヒスタミン剤を組み合わせた製品「セレスタミン」を、抗ヒスタミン剤と思い込んで、気軽に処方する医師がいます。

セレスタミンが処方されたら断りましょう。

(3)その他抗アレルギー剤
ステロイド剤より害作用が少ないとされていますが、喘息のように命にかかわる病気であっても、吸入ステロイド剤以上の効用があるとは考えられていません。

花粉症、アレルギー性鼻炎は不快ではありますが、命にかかわるものではないので、なおさら必要がない。喘息には欧米でも使用されていますが、アレルギー性鼻炎に対して使用が許可されているのは日本くらいです。

(4)血管収縮剤
血管を収縮させると充血や腫れが軽くなり、鼻が通りますが、傷ついた鼻粘膜の修復に必要な酸素をはじめ、さまざまな栄養分の供給が滞り、かえって鼻炎は悪化します。

鼻の粘膜だけではなく全身の血管を収縮させますから、当然ながら血圧が上がり、若くして脳出血を起こしたり、心筋梗基、心不全や腸管の壊死を起こすこともあります。

その代表例がかつての市販薬コンタック600SRJ などに含まれていた成分。フェニルプロパノールアミン(PPA)は、アドレナリン系のエフェドリンという薬剤の仲間ですが、なかでも血管収縮作用の強い成分の混合物。

これが特に危険と、2003年8月、国が指導して順次プソイドェフェドリン(PSE)含有の新製品に切り替わっていますが、これにも似た作用があります。

漢方薬の「小青竜湯」もアレルギー性鼻炎の適応で販売されています。米国では、野球選手が急死した事件をきっかけに、その成分「麻:黄」(別名「エフェドラ」もエフェドリン系物質の混合物)含有のサプリメントが規制の対象となっています。

血管が広がるのは、修復に必要な栄養分や酸素を大量に送り込む必要があるからで、回復するには通らなければならない現象です。薬剤で収縮させるのは逆効果です。

花粉症やアレルギー性鼻炎の患者さんはここ20年くらいで非常に増えてきました。さまざまな原因が考えられますが、食べ物をはじめ生活や環境中のいたるところに存在する化学物質にさらされ、体が過敏になっていることが関係していると考えられています。

睡眠不足や精神的ストレス、栄養バランスの崩れにも関連があるでしょうから、まずはその点に注意してみましょう。究極の予防法はできるかぎり避けられる化学物質を避け、アレルゲンを避けること。薬より防護が大切です。

花粉症の真の原因は化学物質
抵抗力型が強ければアレルギー症状は起きないのでしょうか?花粉症は花粉だけが原因ではなく、ディーゼル車の排気ガス、農薬、食品添加物などの化学物質が加わって現われるのです。

花粉症と微量な農薬に関する実験があります。モルモットに花粉のエキスを点眼しても、ごく軽度の花粉症しか起きませんでした。しかし農薬を極微量投与してから、花粉のエキスを点眼すると重度の花粉症が発病したのです。

化学物質の中にはアレルギー反応を促進するものがあります。これは農薬だけでなく、ディーゼル車の排気ガスの成分でも同様のことが確認されています。

杉並木で有名な栃木県日光市の調査では、スギ花粉が少なく交通量の多い地区の方が、スギ花粉が多く車の少ない地域より花粉症が多かったのです。つまり花粉症は、スギ花粉の量よりも排気ガスの量の方が大きな影響を与えているのです。

考えてみれば、スギ花粉は大昔から存在していました。にもかかわらず近年になって花粉症が増加してきたことは、生活の中の化学物質の増加と大いに関係があると考えられます。その後の研究でいろいろな薬剤、農薬、食品添加物、電磁波でも同じような反応が起こることがわかりました。

このようなことから、花粉症という病気はアレルギーの体質を治そうとする浄化作用と、体内の薬剤、農薬、食品添加物などの薬を排除しようとする浄化作用の現われだと考えられます。

よって、近年、衣食住の生活環境内に増えてきた農薬、食品添加物、殺虫剤、抗菌剤、ホルムアルデヒドなどの化学物質の薬毒や抗生物質などの薬剤の薬毒が、アレルギーの真の原因物質であり、花粉やダニや食べ物などは誘因物質であると考えられます。アレルギーは化学物質だらけの現代社会への警告なのです。

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