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患者の薬歴記録を活用してQOLを高める

患者の薬歴記録を活用してQOLを高める

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2つの記録で情報を管理する薬歴管理
薬歴とは薬のカルテ
薬歴の正式名称は「薬剤服用歴」であり、患者の服薬情報の記録です。
いわば、薬局の薬剤師による患者のためのカルテにあたり、薬歴管理は記録することが目的ではなく、あくまで活用することが目的です。
薬歴には、大きく2つの意義があります。


適正な薬物療法に必要な記録
次の3つの視点から薬歴を情報管理できることが重要です。
1.服薬管理…指示どおりに服用できているか
2.有効性管理…期待どおりの薬効を発揮できているか
3.安全性管理…副作用など、期待外の体調の変化が現われていないか


患者の現状を把握するためには、時間の経過とともに変化する体調や処方内容を確認し、そのつど薬歴に残していかなければなりません。薬歴を管理することによって、処方医の処方意図を理解することができ、患者に合った服薬指導が可能になります。こうして、結果的に患者のQOLを高めることにつながるのです。

適正な医療行為にもとづく報酬の証拠
薬歴は薬剤師の行なった保険調剤の報酬の算定の根拠となります。「薬剤服用歴管理指導料」として、服薬指導や患者情報収集など、薬剤師の職能を発揮した際の正当な評価でもあるのです。極端ないい方をすれば、薬歴に記録のないものは、その医療行為がなかったものとみなされ、薬剤服用歴管理指導料を算定することができません。

活用できる薬歴とするためには、問題点を見つけ出すための情報収集があり、医療にもとづく情報が記載されていて、患者の利益となる指導がなされていることが重要になります。これらの情報を4つに分類・整理して薬歴を記載する「SOAP形式」という手法があります。

薬歴管理において、このようなことが可能になったのも、電子薬歴のおかげといっても過言ではありません。以前までは、処方医が手書きで書かれた処方せんは解読しづらいことも多く、薬局には処方どおりに正確に調剤することが求められていました。

しかし、電子薬歴の導入によって、手書きの紙薬歴では困難だった薬剤師業務の効率化や、薬歴の時系列の閲覧が容易になりました。
また、地域医療の一員としての薬局に求められる役割として、患者の疾病管理にも大きく貢献しています


電子化によって弾みがついたレセプトデータの活用
レセプトの電子化が義務化される
レセプトとは、診療(調剤)報酬明細書のことであり、病院も医院も保険薬局も、毎月の保険請求時に作成し支払基金に提出し、医療費の給付を受けています。

病院・医院では、2009年7月現在、紙での提出も可能ですが、2011年より電子化されてオンラインでの請求が原則義務化されます。2009年3月現在、保険薬局の98.0%が電子化されており、現在ではオンラインでの請求も多くなっています。

この電子化されたレセプトデータを活用することにより、販売実績データからは見ることができない、実際の処方実態を見ることができます。

医科レセプトデータで特徴的なのは、「疾患名」があることです。「どの施設で、どのような疾患に、どのような医薬品が、1日何錠何回服用で、何日分処方されているのか」がわかります。もちろん、個人を特定できる情報は保護されています。


患者の症状に合わせて増減される
実際の処方は、患者の症状に合わせて適宜増減されています。たとえば、添付文書上の用法用量として「1日6錠を3回に分けて服用する」医薬品があるとすると、1日3錠を3回だったり、1日4錠を2回だったりして、製薬企業が想定した用法用量と違うことが多々あります。処方実態を知ることは、症例把握や医薬品の適正使用の推進においてたいへん有用なのです。

ただ、レセプトデータは一般的に健康保険組合を中心としたデータであり、大企業かつ働いている年齢層のデータです。
地域の偏在があったり、高齢者のデータがなかったりするため、人口動態から定数を割り出して補正しているようです


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