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尿・糞便の検査数値から病名がわかる一覧表

尿・糞便の検査数値から病名がわかる一覧表

更新日:

尿・糞便検査
尿色・尿量
【検査の目的】
・腎臓は、血液を濾過して体内の余分な水分や老廃物を尿として排泄し、体液の水分や成分を調節している。
・尿の色や量は、腎臓に異常があれば大幅に変化する。
・警尿色と尿量の観察で腎機能の障害を探る検査。
・1時間当たりの排尿量ml=0.5~ 2ml×体重kg
・1日の必要最低尿量ml=10ml×体重kg

(検査結果からわかること)
・正常の尿の色調は、淡黄色ないし黄褐色をしている。
・尿色は尿量で左右され、尿量が多いほど淡色となる。
・色が濃い場合は、血液、細胞成分、ビリルビンなど病的な着物質の大量排出を意味する。
1日の尿量:
①基準範囲は、600~ 1600ml。
②乏尿は、400ml以下。
③まったく出ない状態を無尿という。
④2500ml以上を多尿という。

〈異常値のしくみ〉
☆無尿:
尿路の悪性腫瘍などで、尿がまったく出ない状態。
★濃縮尿・乏尿:
①脱水やショックによる腎不全。
②やけど、外傷、吐血、下血、心臓病、敗血症など
③慢性腎不全における腎機能の極端な低下。
④低栄養。
☆希尿・多尿:
①尿崩症や心因性多尿による水分の摂取過多、腎機能の低下。
②急性腎不全の回復期や糖尿病など。
★その他の原因:黄疸のあるビリルビン尿は深黄色~淡褐色。
血尿、ヘモグロビン尿、ミオグロビン尿、ポルフィリン尿は赤色尿。

尿比重
【検査の目的】
・尿の比重値は、健康人でも水分摂取量により変化する。
・大きく変わる場合は、腎臓での尿の濃縮力などの障害が考えられる。
・尿比重値の変化によって、腎臓の病気を推定する検査。

〈検査結果からわかること〉
●尿比重値は、水分摂取量が多いと低く、少ないと高くなる。
●基準値は1.020~ 1.025。
●異常値は1.030以上の高比重.1.010以下の低比重。
●常に1.010以下の場合は、腎機能検査や内分泌検査が必要。

高値
糖尿病、ネフローゼ症候群、発熱、下痢、嘔吐など。

低値
慢性腎炎や尿崩症、利尿剤の服用など

尿PH
【検査の目的】
・尿pHは、酸塩基平衡(体内の水素イオン濃度を適切に保つ調節機構)の異常を反映する。
・尿pHの変化により、体の異常を調べる検査。

〈検査結果からわかること〉
・尿pHは食事内容などでも変動する。
・正常ではpH6前後の弱酸性であることが多い。
・pH5以下の強酸尿や、pH7以上のアルカリ尿を呈した場合は異常。
〈異常値のしくみ〉
①強酸尿:
呼吸性、代謝性アシドーシスのほか、発熱時、胃薬など酸性薬品の服用時、運動後などに見られる。
②アルカリ尿:
呼吸性、代謝性アルカローシスなどのほか、タンパク尿、ビタミンB2や造影剤などアルカリ性薬品の服用時、食後などに見られる。

尿潜血反応
【検査の目的】
・腎臓、尿管、膀胱などの臓器の組織に破壊があると、尿中に血液が混入する(尿潜血)。
・尿に大量の血液が混入している場合は、肉眼でもわかる。
・潜血の有無から、体の異常を診断する手がかりとする検査。
・健康な場合でも微量の血液が混じることはあるが、検査では大部分が陰性となる。

〈検査結果からわかること〉
・検査結果が陰性(-)なら、正常。
・肉眼で血尿とわからなくても、尿に血液が混じっていると試験紙が青く変わり、陽性となる(偽ペルオキシターゼ反応)。
・健康な人でも、運動、発熱などで、まれに陽性となる。
・一過性で無害な場合もあるため、初回の検査で陽性となった場合は、必ず再検査を行う。
・再検査でも陽性の場合は、精密検査などを行う。
〈異常値のしくみ〉
☆膀胱炎
潜血反応が陽性を示すケースで最も多い疾患。女性に多く、残尿感や排尿感を伴う。
☆腎結石・尿管結石・膀胱結石:
潜血反応が陽性で、腹痛や腰背部痛を伴う。
☆慢性糸球体腎炎・腎尿路系の悪性腫瘍:
自覚症状はないが、潜血反応は陽性。若年者では慢性糸球体腎炎、中高年では悪性腫瘍の可能性が高い。
☆ミオグロビン尿:
潜血反応が陽性で、尿沈漬で赤血球が認められない場合に考えられる。
☆ビタミンCの大量服用(偽陽性)
★その他の原因:急性腎炎、慢性腎炎、腎結核、腎臓の外傷、尿道炎、淋病、前立腺炎、尿道の異物など。

尿蛋白
【検査の目的】
・血液中には、一定量のタンパクが含まれており、その一部は腎臓の糸球体で濾過され、健康な場合1日50~ 100mgは尿中に排出される。ただし、ほとんどは、尿細管で再吸収されて血液中に戻る。
・基準範囲を超えると、腎臓や尿路系の障害が考えられる。
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〈検査結果からわかること〉
・定性検査:陰性(-)か陽性(+)かを判定。
・定量検査:尿に含まれるタンパク量を測定。
・定性検査が疑陽性(±)または陽性の場合、定量検査でタンパクが1日100mgを超えると異常。
・尿タンパクは、過激な運動、寒さ、精神的な興奮、強いストレス、便秘、妊娠などでも現れる。
・病態によっては消失することもある。
・異常を示した場合は、必ず再検査を行い、再検査で異常が認められた場合は、さらに精密検査を行う。

異常値
☆腎炎、ネフローゼ症候群、腎硬化症など:
①腎炎の1日の尿タンパク量は、ごく少量から数10gまでさまざま。
②ネフローゼ症候群では1日3g以上の高値を示し、重症の場合は血液中のタンパク濃度が低下する。
③本態性高血圧症に伴う腎硬化症では、1日300 mg以下が多い。
★腎・尿路系の炎症、結石、腫瘍など
☆骨髄腫、外傷、筋肉の炎症、輸血、溶血など
☆その他の原因:ショック(急性戻細警農売)、粘液水腫、全身性エリテマトーデス、関節リウマチ、水銀中毒、鉛中毒など。発熱に伴うタンパク尿(熱性タンパク尿)などは良性であり、病気が治ると、尿タンパクも消える。

尿糖
【検査の目的】
・腎臓の糸球体で濾過された尿中のブドウ糖は、近位尿細管で95%が再吸収され、残りも遠位尿細管で再吸収されて血液中に戻る。
・多量の糖が尿に漏れ出ている場合は、血糖値が一定限度を超えていると考えられる。
・尿中の糖の有無、量を調べる検査。

〈検査結果からわかること〉
・尿糖は食事に影響されるため、採尿した時間と食事時間によって、結果の判断が異なる。
①早朝第1尿:起床直後の尿。特に夜間の高血糖の判断に役立つ。
②食後尿:食後2時間後の尿。尿糖が最も検出されやすい。糖尿病のスクリーニングに最適。
③24時間蓄尿:24時間尿をため、検体とする。1日の血糖コントロール状態が把握できる。
・定性検査で陰性(-)、定量検査で1日の尿糖の量が1g以下なら基準範囲内。
・定性検査で疑陽性(±)か陽性(+)、定量検査で尿糖の量が1日1g以上は、病的状態が想定される。
〈異常値のしくみ〉
☆糖尿病:血糖値170~ 180mg/dl以上になると、糖が尿中に排出される。尿糖検査の異常がある場合、糖尿病が疑われるが、血液検査の結果などと合わせて判断する。
☆腎性糖尿:腎尿糖排泄閾値が低いため、血糖値は基準値内でも尿糖が出る。若い人に多い。後で糖尿病に移行するケースがあるので、注意が必要。
☆症候性腎性糖尿:尿細管機能障害を伴う腎疾患(Fanconi症候群など)では、尿糖が出る。
★腎尿糖排泄閾値とは、尿中に糖が排出される血糖値の上限のこと。

尿沈渣
【検査の目的】
・尿に排泄された赤血球、自血球などの固形成分の数や形態の変化を、顕微鏡で調べる検査。
・尿タンパクや尿潜血などの尿検査が異常値を示すときに行われ、腎泌尿器科疾患の診断と経過観察に必須。

〈検査結果からわかること〉
・尿沈渣で異常が認められた場合は、再検査が必要。
・尿タンパク、尿糖なども合わせて総合的に考慮する。
①赤血球:5個までが基準範囲。
②白血球:強拡大で5個までが基準範囲。増加している場合は、細菌も尿中に認められる。
③円柱細胞:細胞の主成分により赤血球円柱、白血球円柱、上皮円柱などと呼ばれる。健康な人で1日に15~ 20 mg程度は排出されるが、通常、陰性(-)を示す。
それ以上は陽性(+)。
④上皮細胞:少数なら問題ない。数が多い場合は、遠位尿細管より後の尿細管細胞が脱落している。
⑤結晶成分:少量なら問題ない。

異常値のしくみ
高値
☆赤血球が高値:
急性腎炎、慢性腎炎、腎腫瘍、腎結石、ネフローゼ症候群など。ほかにも心不全、動脈硬化、尿路結石、尿路腫瘍、膠原病など。
★白血球が高値:
尿道炎、膀月光炎、腎孟腎炎など尿路系の感染症。白血球が増えているのに細菌が認められない場合は、結核やクラミジア感染などの疑い。
☆円柱細胞が陽性:
尿タンパク、尿潜血、円柱細胞がすべて陽性の場合は、急性腎炎、慢性腎炎、腎孟腎炎、ネフローゼ症候群、糖尿病性腎症、心不全、高血圧など。
☆上皮細胞が高値:
尿路系の炎症。
☆結晶成分が高値:
腎結石、急性肝炎、閉塞性黄疸など。


ケトン体
【検査の目的】
・ケトン体とは、肝臓で作られるアセトン体(アセト酢酸、β―ハイドロキシ酢酸、アセトン)の総称。
・ケトン体は、糖の供給が十分でなかったり、組織での糖の消費に障害が起こつたりすると、肝臓での生成が盛んになり、尿中に排出される。
・尿中のケトン体の量を調べる検査。
・糖尿病患者や肥満患者の食事コントロールのチェックにも用いられる。

〈検査結果からわかること〉
・陰性(-)なら正常。陽性(+)は、糖尿病や糖質飢餓などの疑いがある。
・ケトン体を含む尿は、普通、甘酸っぱいにおいがする。
・ケトン体が増加すると、pHは低下する。

〈異常値のしくみ〉
☆重症糖尿病:
糖尿病、グルカゴノーマ、クッシング症候群、褐色細胞腫、甲状腺機能克進症などでは、ケトン体が過剰生成され、陽性となる。
☆肥満:
過脂肪食などにより脂肪が完全に分解されず、ケトン体が尿中に排泄される。
☆重症消化不良(嘔吐、下痢、自家中毒、食中毒など)。絶食:脱水、糖質不足が原因でケトン体が増加し、尿中に排出される。
☆その他の原因:糖尿病患者では、手術予後、発熱、感染などによってケトン体が尿中に排泄されることもある。


便色・便状ほか
【検査の目的】
・便の状態を肉眼的に観察する検査で、おもに消化管の病気を知る手がかりとする。
〈検査結果からわかること〉
・異常が疑われる場合は、X線検査や内視鏡検査が必要。
便のチェック項目
①色:正常便は、黄褐色~茶褐色。黒ずんでいたり(タール便)、血が混じっていたり(血便、粘血便)、白っぽい(灰白色便)ときは、消化器系の異常の疑い。飲食や薬剤、バリウム検査などの影響により変化することもある。
②形:正常便は、固形便。軟便、泥状便、水様便は、腸の栄養分や水分の吸収障害などの疑い。
③回数。頻度:健康な人は1日1回くらいの排便。数日以上排便がなく、排便間隔が不規則だと便秘。大半は、大腸の運動減退や緊張しすぎが原因だが、大腸の先天性異常や手術後の腸の癒着によっても起こる。

異常値
血液が付着した便:痔
血液が混じった粘血便:痔、潰瘍性大腸炎、大腸ポリープ、大腸がんなど
黒くて光沢のあるタール便:食道静脈瘤の破裂、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃がんなど上部消化管からの出血。慢性膵炎、胆道閉塞などでも光沢のある黒色便が見られる
光沢のない黒色便:肝炎など
斑点状に黒色が混在:鉄剤の服用など
灰白色便:慢性膵炎、胆道閉塞、消化不良症候群、大腸菌下痢症など。閉塞性黄疸では、ビリルビンの混入により便が白色調
米のとぎ汁様の灰白色便:コレラ、重金属中毒症など
黄色の便:脂肪や乳製品の多量摂取、センナ・大黄の服用、サントニン(駆虫剤)の服用など
緑色の便:抗生物質服用、MRSA腸炎、緑黄色野菜の多量摂取など
粘液を含んだ便:過敏性腸症候群、回腸炎、結腸炎など



便潜血反応
【検査の目的】
・通常、消化・吸収された老廃物に血液が混入することはない。
・便に血液が混じっているときは、消化管系の出血を考える。
・便中に血液が混入しているかどうかを調べる検査。
・主に消化管系の疾患を診断する。

〈検査結果からわかること〉
・化学的便潜血検査:従来行われてきた検査だが、最近は免疫学的便潜血検査が主流となりつつある。
・免疫学的便潜血検査:ヒトヘモグロビンのみに反応する抗体を用いる方法。化学的便潜血検査より感度、特異性ともに優れている。疑陽性が少ない。隋陰性(-)なら正常。
・陽性(+)は、便に血が混じっていることを意味するが、「便潜血=消化管からの出血」ではない。痔、鼻や口腔からの出血でも陽性となるため、再検査が必要。
・再検査で陽性と出た場合は、X線透視検査や、血液検査、痔の検査などを行い、出血の原因を明らかにする。

〈異常値のしくみ〉
☆真っ黒なタール便で便潜血が陽性:
上部消化管からの出血の疑い。100mlの出血があれば、タール便となる。胃や十二指腸からの出血が多く、胃がんなども疑われる。
☆赤黒い色や真っ赤な色の便で便潜血が陽性:
下部消化管や肛門部からの出血の疑い。潰瘍性大腸炎やポリープなどによる出血よりも、痔によることのほうが多いため、ほかの検査を行う必要がある。
☆その他の原因:血液の病気、腸チフスや赤痢による消化管からの出血、歯茎や歯肉からの出血、鼻血など。


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