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GTPなど肝臓に関する検査数値から病名がわかる一覧表

GTPなど肝臓に関する検査数値から病名がわかる一覧表

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血清酵素検査
γ‐GTP
●γ―GTP(γ ‐グルタミルトランスベプチダーゼ)は、タンパク質を分解する酵素の1つで、「胆道系酵素」という。
●腎臓に最も多く、次いで膵臓、肝臓、牌臓、小腸、脳、心筋などに存在する。
●γ…GTPは肝胆道系疾患、アルコールや薬物による肝細胞の破壊で上昇する。
●γ-6TPとアルコール摂取量とは、ほぼ相関関係にある。
●一般に、アルコール性肝障害の診断に用いる検査。

〈検査結果からわかること〉
● γ―GTP値は、新生児は高く、思春期には成人値になる。
●基準値は、男性15~90IU/l 、女性8~ 68 IU/l 。
●女性は、女性ホルモンの作用によって、妊娠中(特に後期)にγ― GTPの低値が認められる。
●アルコールを摂取している人は高値を示す傾向がある。
●臨床的に問題になるのは高値を示す場合。

異常値
高値
★アルコール性肝障害:ほかの肝機能は正常で、γ-GTP値のみが高い場合は、アルコール摂取が原因。
飲酒の習慣がない人でも、飲酒しただけでγ―GTPは高値を示す。アルコール性の脂肪肝、慢性肝炎、肝繊維症、肝硬変などでは、γ―GTP値は数百~数千IUにまで上昇する。
☆薬物性肝障害:抗てんかん剤(フェニトインなど)、鎮静剤(フェノバルビタールなど)、睡眠薬、精神安定剤、糖尿病治療薬の長期服用により、高値となる。一般にALPやLAPは正常値を示し、 γ―GTP値のみ上昇。
☆肝の悪性腫瘍:原発性肝がん、転移性肝がん、悪性リンパ腫など。
☆その他の原因:脳血管障害、慢性膵炎、急性心筋梗塞、糖尿病、やけどなどでも上昇するが、臨床的に重要ではない。

AST:{GOT} ALT{GPT)
【検査の目的】
・AST(グルミタン酸オキサロ酢酸トランスアミナーゼ)、ALT(グルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼ)は、ともにアミノ酸を作る働きをする酵素。
・AST:健康な人の血中に一定量存在するが、肝臓などの損傷で増加する。
・ALT:肝臓に特異性が高く、肝細胞の疾患などに反応する。
・特に肝臓疾患の診断に不可欠の検査。
〈検査結果からわかること〉
●基準値は、ASTが9~32 IU/l 、ALT3~38 IU/l 。
●高値は、肝細胞、心筋細胞などの破壊が考えられる。
●飲酒、運動、体重増加、ストレス、ステロイド剤服用などでも増加する。

異常値
高値
AST、ALTは、一般に値が高ければ高いほど疾患は重症。
〈AST〉
☆500IU以上(高度)
急性肝炎、劇症肝炎、心筋梗塞、大量出血などによるショック。
☆200~ 500IU(中等度):
急性肝炎、慢性肝炎、アルコール性肝炎、心筋梗塞、筋ジストロフィー。
☆35~ 200IU (軽度) :
慢性肝炎、肝硬変、アルコール性肝障害、薬物性肝障害、胆汁性肝硬変症、溶血、心筋梗塞、脂肪肝、甲状腺疾患。
〈ALT〉
☆500IU以上(高度):
急性肝炎、劇症肝炎、大量出血などによるショック。
★200~500IU(中等度):
急性肝炎、慢性肝炎。
☆35~ 200IU(軽度):
脂肪肝、慢性肝炎、肝硬変、アルコール性肝障害、胆石発作、薬剤性肝障害。
*劇症肝炎では、AST、ALTとも1000 IU/以上の値となる。
*肝細胞の壊死が広範囲にわたると、AST、ALTとも低値になり、基準値に近くなる。


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