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処方せんのデータで患者に適した薬を選ぶ人々

日本国内における医薬品卸のランキング

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処方せんのデータで患者に適した薬を選ぶ人々
処方せんをもとに調剤する薬を選ぶ人々
医薬品の最終消費者は患者ですが、一部のOTC医薬品を除き、患者が直接医薬品を選ぶことはできません。病院や医院で受診した患者に医師が病状を診断し、治療のために症状に合った医薬品を選択して処方します。

処方せんを受けた薬剤師は、処方せんに記載された医薬品の用量や相互作用の有無などを確認して調剤し、服薬指導を行ない、初めて患者の手元に医薬品を渡します。このように、医薬品を選ぶのは病院や医院、保険薬局の医療施設になります。

病院・医院
病院と医院は、病床(ベッド)数の違いによって定義されています。ベッド数が19床以下は医院(診療所・クリニック)、20床以上は病院です。日本全国に医院は約10万軒、病院は約9千軒あります。

保険薬局
保険薬局は、日本全国に約5万3千軒(厚生労働省‐薬事関係業態数調)あります。「調剤を実施する薬局」は、2007年の医療法改正により、「医療提供施設」として明記されました。

医薬分業として、病院や医院とともに、地域医療や医療連携において薬局・薬剤師が機能を発揮することが求められています。保険薬局の薬剤師は、医薬品の選択において相互作用、重複投与、副作用などのチェックだけでなく、服薬指導において患者へ服用の意義を伝えたり、ジェネリック医薬品など最適な薬剤のアドバイスを行なったりするなど、患者中心の医療の担い手へ変化しています。


幅広い用途で活用される処方せんデータ
処方せんは、患者が病院・医院を受診し、医薬品による治療を必要とされた場合に発行され、医療施設名・診療科・処方薬の用法用量などが記載されています。

また、処方せんは、医薬品が処方医によって患者のために選ばれた「最適な結果」です。処方せんデータでは、「医薬品がどの施設で、どの診療科で処方されているか」という実態を知ることができるのです。

患者は、処方せん1枚あたり平均で3.87種類(「厚生労働省―平成20年社会医療診療行為別調査結果の概況」より)と、たくさんの併用薬を服用しています。多い人では、10種類を超える患者もいます。

併用薬分析から、患者群の症状や合併症を推測することが可能です。また、処方医が相乗効果や相加効果を期待して、積極的に併用するケースもあるので、処方せんデータの活用により、プロモーションを行なう製品のターゲティングや、症例ベースでのMR活動も実現可能となります。


分析から安全対策まで幅広く利用される
とくに、新製品発売時には、従来の医薬品や競合する医薬品の使用例から、新医薬品ヘの切り替えや継続状況など、自社の強みや弱みを分析することが可能です。

また、PMSの項でも触れましたが、相互作用による副作用を未然に防ぐことは製薬企業にとって重大な使命なのです。併用禁忌の症例は、薬剤師の疑義照会によって未然に防ぐことができますが、「予防・予測型」の安全対策のためには、併用注意の症例も無視することはできません。

処方せんデータを分析して、MRを通じて併用注意の症例への適正使用情報を伝達し、ほかの安全な薬剤に変更を促進させるといった医薬品の安全対策への活用方法も可能です。


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