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国民皆保険制度は高齢化社会で医療費負担は増加するばかり

国民皆保険制度は高齢化社会で医療費負担は増加するばかり

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国民皆保険制度とは
日本では1961年から開始された制度
国民皆保険制度とは、国民のすべてが公的保険への加入を義務付けられている制度のことです。保険に加入している人を被保険者、保険を運営している組織を保険者といいます。

日本では公的医療保険制度を1922年から開始し、1961年に国民皆保険制度を実現しました。世界的には、米国を除く先進国で何らかの国民皆保険制度を有していることが普通です。

国民皆保険制度では全国民が被保険者となり、被保険者は保険者に対して毎月保険料を支払います。保険料率は、それぞれの保険者により異なりますが、中小企業を対象に政府が運営する政府管掌保険では収入の約13%です。このうち半分を被保険者が、半分を会社が支払うことになります。

そして、たとえば傷病で医療機関を受診した場合には、被保険者は医療費総額の30%を一部負担金として支払うことになりますが、残りの70%は保険から給付されることになっています。

また、医療費が一定の限度額を超えた場合は、その超えた一部負担金について払戻しを受けることができる高額療養費制度もあります。 国民皆保険制度では、すべての国民が、所得に関係なく、必要な医療を受けることができるのです。


保険の種類
日本の医探保険制度は、現役世代が加入するタイプと、現役から退いた世代が加入するタイプ(退職者医療制度、高齢者医療制度など)に分けられます。

現役世代が加入する医療保険制度は、その勤務先によって異なり、企業に勤めている会社員とその家族が加入する健康保険、船員とその家族が加入する船員保険、公務員や私学教職員の加入する共済組合、その他、自営業の人などが加入する国民健康保険の4つがあります。


国民皆保険制度の危機
高齢化社会の進展と国民医療費の増大
現在の日本では急速な少子高齢化が進んでおり、それとともに国民医療費も増加の一途を辿っています。1970年には2兆円だった国民医療費が、30年後の2000年には30兆円を突破しています。

国民1人あたりの医療費を見ても、1970年には2万4千円だったものが、2000年には20万円を超えているのです。このような医療費の増加は、高齢化に伴って、医療が必要な国民が増加したことが主な原因です。

さらに、日本では長期にわたって出来高払い制度を採用していたため、必要以上の医療費が給付されていたという面もあります。そこで、無駄な支出を減らすことを目的として、2003年に、包括制を導入した。対象とする病気も順次拡大される傾向にあります。


国民皆保険制度維持の困難
日本は、すべての国民が、国民健康保険、健康保険、共済など、いずれかの医療保険制度に加入することを義務付ける国民皆保険制度を採用しています。そのため、すべての国民が保険証1枚で、原則、医療費の30%を負担するだけで、必要な医療をいつでも受けることができるのです。

企業・公務員以外の勤労者、定年退職者が加入する国民健康保険では、高齢者の割合が高いため多額の保険給付が必要となりますが、一方で、収入の少ない被保険者が多く、その結果、保険給付に必要な保険料を確保することができない状況にあります。特に過疎化の進む、高齢者の割合の高い市町村が運営する国民健康保験の多くは赤字となっているのが現状です。

そのため、特に多額の医療費が必要な75歳以上の高齢者を、現在の医療保険制度から分離させた高齢者医療制度を設けるなどの対策がとられています。

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