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日本は世界で一番薬が売れる市場で種類もけた外れに多い理由

日本は世界で一番薬が売れる市場で種類もけた外れに多い理由

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日本は理想から遠くかけ離れた理不尽で不健康な社会
古今東西、薬や医者が不必要にありがたがられる社会は、あまり望ましい社会ではないと相場が決まっているようです。

なぜなら薬や医者に人気があればあるほど、病人は多くなる傾向にあると言われているからです。

くしくも1673年、人間の体を機械と見なし、物質で病気を治そうという間違った方向に医学が歩みはじめた時代風潮のさなかに、かのうランスのモリエールは「病は気から」を著し、そのなかの登場人物にこのように言わしめました。

「患者の大部分は病気のために死んでいくんじゃなくて、薬のために死んでいる」

このように世相を痛烈に批判したモリエールの言に依るならば、薬がよく売れる今の日本は悪しき社会であると言えるのかもしれません。
日本は世界で1、2位を争うほどよく薬が売れる市場です。

製薬会社やその利権にかかわる役人や教授連中にとっては、日本という国はこのうえないパラダイスなのかもしれません。多国籍企業を含めた外国の製薬会社も、日本を絶好の市場ととらえ、虎視眈々とわが国を狙っています。

しかし、これは私たちにとっては、はなはだ迷惑千万、日本という国は、理想から遠くかけ離れた理不尽で不健康な社会と言わざるを得ません。

それなのに、肝心の日本国民の多くは、自分たちの国には最先端の医薬があふれているなどと、のんきなことを考えているようです。むしろ誇りに思っているくらいなのかもしれませんが、少なくとも海外の人たちの目には、たいへん「おかしな国民」と映っています。

もちろん海外の製薬会社にとっては、たいへん「おいしい国民」と映っているのは当然のことです。
「おいしい国民」を続けていても、何ら私たちが得をすることはありません。

それどころか自分の寿命を縮めつづけることになりかねないのです。

残念ながら、間違っても薬の販売や服用が法律で禁止されるなんてことは、未来永劫にわたりけっして起こることはないでしょう。

だとすれば、私たち一人ひとりが考え方を変え、薬信仰を捨て、自立するしか、自分たちを守る手立てはありません。しかし、前向きにとらえれば、次のようにも考えられるのではないでしょうか。

つまり、一人ひとりが、まずは薬の常用をやめることにメリットを感じ、できるだけ薬に頼らない生き方をしていくことが、ひいては健康寿命をも延長させてくれるのだと理解すれば、おのずと社会全体も変わっていくはずです。

この先、日本の医療がどうなっていくか。そのキャスティングボートを握っているのは、とりもなおさず私たち一人ひとりなのです。


いったい日本には、どれだけの種類の薬があるの
100種類くらい?もちろんそんなに少なくはありません。では500種類くらい?1000種類くらい?あるいは1万くらい?実際には1万7000を超えるほどもあるのです。この数は世界でもトップクラスです。

では薬の種類が多いのはいいことなのでしょうか?
安くて、効果が高くて、副作用がほとんどないような、「いい薬」ばかりであれば、いいことになるのでしょう。

しかし現実には玉石混滑、しかもほとんど「石」です。まったくいいことではありませんし、そもそもたくさんありすぎるという批判が一般的です。

ちなみに、WHO(世界保健機関)が、「日常臨床に必要な薬」と定めた必須医薬品数は、ほんの300種あまり。日本の医薬品の数とは、大きくかけ離れています。

じつはWHOも、国際機関とはいえ、いい加減なところがあるのですが、一応は世界医療の指標になっていますので、参考にするには値するとしましょう。

ほとんどの国では、このWHOの「必須医薬品(エッセンシャルドラッグ)モデルにならっています。そして自国でも、薬の選択の優先順位を決め、よけいな薬をできるだけ整理して排除しようと国ぐるみで推進しています。

これを必須医薬品政策と言いますが、日本でそんな政策が唱えられたことは、ついぞありません。

まずは「存在する薬の種類の数」において、日本が異常であることはおわかりいただけたと思います。では「実際の消費量」はどうでしょうか?

ひところ、世界中のタミフルを日本が買い占め、世界中を騒がせました。一事が万事、薬の消費量においても、日本は半端ではありません。

次の表でも明らかなように、日本人は世界全体の約6分の1もの薬を消費していることになっています。日本は巨大な「医薬品消費国」なのです。


世界の医薬品市場は、2000年度ベースで3172億ドル、このうち米国が1528億ドル、ヨーロッパが753億ドル。そして日本一国だけで、515億ドル(6兆円)です。

なお、統計は消費量を金額ベースで比較しているので、消費量をそのまま反映しているわけではありません。

したがって、日本の薬価が他国に比べてダントツに高いことは差し引いて見なければなりませんが、それにしてもすさまじい消謝量であることは変わりません。

もっとも「薬好き」は日本だけに限らず、世界的な傾向でもあります。

先に述べた必須医薬品政策を実施している国は、世界で160ヵ国あまりあるのですが、最近の傾向としては、どの国(とくに先進国)も高騰する医療費に頭を痛めています。

ということは、必須医薬品政策を推進しながらも、やはり製薬会社の圧力に抗しがたい状況であるというのが現状だと思います。これも先述のとおり、最近は、製薬会社も国境を越えて「メガファーマー」化していますからなおのことでしょう。

つまり、やはり世界的に薬を多用する傾向にあるということです。とくに中国の勢いは目をみはるものがあります。

それには、製薬会社がグローバル企業化していることなど、いろいろと背景があります。ともかく、そのなかでも、存在する薬の種類、実際の消費量、両方において、日本という国は、それは大した「薬大国」と言えます。

最近は、中国人、とくに上海の人たちの薬好きに拍車がかかっていますが、それでもまだまだ日本人の比ではありません。

もちろんいっぽうで、発展途上の国の人たちは、欲しくても高くて薬が買えないという別の事情があることもたしかです。そんな事情を割り引いてみても、日本人の薬好きは尋常でないと思います。

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