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骨の丈夫さはカルシウム摂取量よりも運動量の大きさが重要だった

骨の丈夫さはカルシウム摂取量よりも運動量の大きさが重要だった

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カルシウム剤はいらない?骨折しやすいのは運動不足のため

「日本人の食生活ではカルシウム不足だから、カルシウムをたくさん摂った方がよい」とテレビや雑誌などでよくいわれています。1日におけるカルシウムの必要量は、成人で約600mgといわれています。

これに対して、日本人の1日の平均カルシウム摂取量は約550mg。よって約50gのカルシウムが不足しているというわけです。このことは一見もっともらしく聞こえますが、実はいろいろな疑問点があります。

まず、1日のカルシウム必要量の600mgは、誰がいつどのようにして決めたのでしょうか?決め方は暖昧で、この600mgは決して正確なものではありません

もっと少ない400mgでも、中には300mgでも十分だとする学者さえいます。また、「最近の人たちは骨折しやすくなった。特に子供と老人が。これはカルシウム不足だ」といわれていますが本当でしょうか?

骨の主成分は確かにカルシウムです。しかし、カルシウムが多く含まれている食べ物をたくさん摂ったからといって、骨が丈夫になるわけではありません

食べ物のカルシウムが骨に正常に蓄積されるためには、腸管のカルシウム吸収能力、ホルモン調節としての副甲状腺のパラソルモンや甲状腺からのカルシトニン、ビタミンC、ビタミンD、太陽の紫外線、リンやマグネシウムなどのミネラル、コラーゲンなどが関与しています。

このいずれかに障害があれば、なんらかの骨の異常が現われることがあります。さらに、これらが正常に働いても、血液中のカルシウムを骨に運ぶ毛細血管が十分に発達していなければなりません。

そして骨を丈夫にするために一番必要なことは適度な運動です。運動により骨が刺激を受けて、鍛えられることによって、毛細血管が発達し骨が丈夫になるのです。

以前、宇宙飛行士が地球に戻ってきた時、長時間無重力状態が続いたため筋力や骨が弱ってしまい歩けなかったことがあります。子供の骨折の原因を調査した報告では、骨折しやすい子供たちとそうでない子供たちの違いは、カルシウム摂取量などの食生活より、運動量が大きな影響を与えていたということです。

このように、カルシウムを摂る量が少ないから骨がもろく骨折しやすくなったのではなく、その大きな要因は、運動不足にあるのです。
1946年、日本人の1日の平均カルシウム摂取量は253mgしかありませんでした。

現在のカルシウム摂取量の半分以下しか摂っていなかったのにもかかわらず、昔の人の方が骨が丈夫でした。

カルシウムを多く摂るようになった現代の人に、骨折や骨粗しよう症が増えてきてしまった理由はなんと説明したらよいのでしょうか?このことについて栄養学的に答えを出せる人はいないようです。

しかし、なぜ昔の人の方が骨が丈夫だったのかといえば、昔の人はジョギングやテニスなど特定の運動はしていなかったものの、電化製品や交通機関が発達していなかったために、1日の生活における運動量が今の人よりも多かったためでしょう。

骨の丈夫さは、カルシウム摂取量よりも運動量の方が大きな要因になっていることがわかるでしょう。

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