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3つの移植タイプと臓器移植は究極の手術

手術後の経過を左右するリハビリと栄養補給について

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3つの移植タイプと臓器移植は究極の手術
臓器移植は究極の手術
悪い臓器を正常なものと置き換えることにより、臓器の機能を回復させたり、全身症状を改善したりできるものなのでしょうか。

人間の体の一部が悪化して、生命に危険を及ぼす場合、その臓器の機能を代用するものがあれば、生命は維持されていきます。

胆道閉鎖症のため、父親から肝臓を移植されたお子さんが通院しておりますが、すこぶる元気です。

30年前であれば、まず助からなかった病気であったのに、今日このように多くの人の命を助けられるのは素晴らしいことです。倫理上の問題が、若干問題になることがありますが、不治の病と戦ってきた方々には大きな福音となることでしょう。


3つの移植タイプ
移植については、大きく分けると2つに分類することができます。
まず自分のものを自分自身に移植する「自家移植」。

これは血液、骨や皮膚の移植が多く行なわれます。たとえば骨の移植であれば、腸骨を脊椎へ持っていったり、また皮膚移植では、火傷の際に健康な肌を患部に移植したりします。

また、血管の移植では、下肢の大伏在静脈や腸骨静脈が、心臓の冠状動脈のバイパスや下肢動脈閉塞のバイパス、腹部では門脈切除後の再建血管として用いられます。

そして人間同士で他人のものを移植することを「同種移植」といいます。日本でも腎臓、肝臓、角膜、心臓などが行なわれています。これはよく知られているように、移植されたものが適合しない場合があります。

それはその人の持つ免疫によるものです。免疫の中でも白血球にはそれぞれの型があり、HLA (組織適合性抗原)が違えば拒絶反応が起きてしまうのです。

拒絶反応を起こすと高熱を出したり、移植された臓器が攻撃を受けて、最悪の場合は腐ってしまうことさえあります。このHLA (組織適合性抗原)は膨大なタイプ分類されており、これがぴったり合うことはほとんどまれなことと考えていいでしょう。したがって同種移植には拒絶反応がつきものです。

これに対して、免疫抑制剤(不適合を認識する力を弱める薬)が開発され、拒絶反応を起こさないようにすることができるので、これによって生存を維持している人も多くいます。

但し免疫抑制剤は、感染症への抵抗力を弱めてしまうという副作用があるので、あまり長い間は使用することはできないのが難点です。

3番目は「異種移植」と呼ばれるものです。例えば、サルやブタの臓器を移植するものですが、現在のところ一般的ではありません。しかし、最近の遺伝子工学の進歩をみていると、近い将来可能になるかもしれません。

このように移植については非常に難しい問題がついて回ります。今後発展させていかなければならない分野ですが、倫理上の問題、臓器の保存の問題、経済的問題を含めさまざまな問題をクリアしていくには時間がかかるでしょう。

しかし、この分野の進歩は過去十年間でめざましいものがありますので、今後の大発展が期待されます。とくに、異種移植が可能になれば、移植手術も現在とは大きく変わってくるでしょう。

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