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薬剤師の基本的な仕事とは?働きかたとして4つの選択肢がある

薬剤師の基本的な仕事とは?働きかたとして4つの選択肢がある

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薬剤師の仕事の基本

薬剤師の仕事薬剤師の仕事は、医薬品を調剤するだけではなく、想像以上に幅広い職域があります。

そのなかでもとくに重要なことは、人とのコミュニケーションです。つまり、薬剤師は人とのコミュニケーションを避けて通れないのです。

患者、医師、看護師はもとより、同僚、上司、部下といった人間関係もあることでしょう。そこで、薬剤師の就職先のほとんどを占める、病院、保険薬局、ドラッグストア、製薬企業を取り上げたいと思います。

まずは、コミュニケーションする人間関係を自分の「内側の人」と「外側の人」に分けます。たとえば、上司や先輩は内側、患者は外側とします。

続いて、そのコミュニケーションする関係性は、小さいか大きいか、浅いか深いかを表現します。

おおよそどのような人たちと一緒に仕事をし、どのような人たちとかかわりあいながら社会人として過ごしていくかが見えてくると思います。実際にコミュニケーションを図るためには、別途努力が必要ですが、たくさんの人がかかわる医薬品業界では、さまざまな関係者を可視化する工夫が役立ちます。


イメージよりも幅広い薬剤師の仕事
律や綱領に任務が明記されている
学生のうちから医薬品について学ぶには、薬科系大学に入学しなくてはなりません。

一般的に、薬剤師は「病院や薬局で医薬品を調剤し、医薬品について患者に説明している人々」というイメージだと思われます。しかし本来は、もっと広い概念を持った職種なのです。薬剤師法第一条には、薬剤師の任務が明記されています。

つまり、医師と任務は違うものの、目的は同じなのです。薬剤師は医薬品を扱うことはもちろん、公衆衛生の向上、健康な生活の確保、福祉に貢献まで、幅広い領域を担うのです。

公衆衛生とは、WHOで、「組織された地域社会の努力を通して、疾病を予防し、生命を延長し、身体的、精神的機能の増進をはかる科学であり技術である」と定義されています。


学ぶ期間が6年に増えた
薬剤師は、すでに何か疾患を患っている患者のみならず、健康な国民にとって身近で、頼れる存在をめざさなければなりません。そのため、さらなる薬剤師の資質向上をめざし、薬学教育に6年制が導入されました。

薬剤師をめざすには、原則として、薬科系大学で6年制課程を卒業し、薬剤師国家試験に合格しなければなりません。国家試験に合格した人は、厚生労働大臣から合格証書の交付を受け、保健所などへ申請を行ない、薬剤師名簿に登録することによって、薬剤師の免許を厚生労働大臣より与えられます。

薬科系大学によっては4年制コースが併設されている場合もあります。4年制コースにおいても、一定条件を満たせば薬剤師国家試験の受験資格を得られることが検討されていますが、おもに医薬品の研究や開発などに携わる人の育成が多いようです


薬剤師の働きかたは4つに大別される
薬剤師としての働きかたは大きく4つに分けられます。この4つの職種を比較するために、それぞれの業務内容を2つの軸を基準として比較します。

1つは、その仕事においてみずから主体的に働くのか、ほかの職種に対して従属的に働くのかという「従属的‐主体的」の軸です。

もう一方は、その仕事が多様性のある仕事なのか、画一性な仕事なのかという「画一性‐多様性」の軸です。次の人たちに実際にヒアリングをしてまとめました。

病院薬剤師
病院薬剤師は、病院の中での立場は医療チームの一員であり、医師や看護師との調整が重要です。また、人と違ったことを求められる仕事ではなく、決められたことの中でいかに精度を高めていくかが求められる仕事です。このようなことから、「従属的‐画一性」エリアに入ります。

保険薬局薬剤師
新人、ベテランは関係なく、患者と向き合い、疾患の治療のための服薬指導や薬歴管理を行ないます。患者も十人十色であり、その場の対応が求められます。そのため、1つひとつの指示に従うというよりも、目の前の患者のためにみずから主体的に動かなければなりません。

また、管理薬剤師となると、在庫管理や人材育成など、マネジメント能力も鍛えられるので、主体的‐ 多様性エリアとしました。

ドラッグストア
1日が「品出しで始まり、品出しで終わることもある」というように、取り扱う商品数が多く、物品販売業務に特化しています。

その一方、売上を上げるための売り場の演出や、たくさんの顧客を誘導するようなマーケティングは、店舗側か主体的に実施できる裁量があり、主体的‐画一性エリアに入ります。

製薬企業薬剤師
あまたの法律や規制の中、医薬品を研究・開発して製造販売することは、決められた枠の中で各社競争することとなります。MRであれば、法律や制度だけではなく、医師や薬剤師などの顧客に対しても(薬物治療のパートナーであるものの)従属的な関係であると思われます。

一方、マネジメントやマーケティング、教育や国際業務など、多様性のある業務なので、「従属的‐多様性」エリアに入ります。


増加した薬剤師は過剰となるのか
薬剤師は過剰になる?

新設薬科大学の増加にともない、今後、薬剤師の増加が見込まれます。将来的に薬剤師が過剰になるのではないかと、厚生労働省医薬食品局「薬剤師需給の将来動向に関する検討会」にて、薬剤師・薬学教育の今後について議論がなされています。

薬剤師の供給側では、薬科系大学卒業予定者(定員)数と薬剤師国家試験の平均合格率をもとにして、供給予測のように、上方10P増から下方30P減までの試算をしています。

需要側では、薬剤師の勤務状況をもとにし、薬局の分業率の平均増加分を加味して試算しています。供給予測と需要予測の間には増加率に差があり、将来的には供給過多の状況を予測しています。

一方で、薬剤師は国民に対して質の高い医療を安全に提供する使命や、広く薬事衛生をつかさどる者として社会的責任を担っています。供給過多が予測される状況の中、薬剤師の資質のさらなる向上が求められています。


処分や再教育がなされるようになる
薬剤師の行政処分および再教育制度が、2008年4月より施行されたことを受けて、厚生労働省医薬食品局「医道審議会薬剤師分科会」では、「薬剤師の行政処分の在り方等に関する検討会」によって、「職業倫理の欠如」または「知識・技能の欠如」などに該当する薬剤師として不適格者には、免許取り消しを含めた厳格な行政処分も検討されています。

つまり、「薬剤師の国家資格を持っているだけで将来安泰」ではなくなったのです。
これからの薬剤師には、能動的に学び続け、みずからを高めるような努力が必要になります。


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